2011年3月1日火曜日

統合化とモジュール化 二重らせん構造 3

以前も書いたが、2000年のIT革命の騒乱の中で畑違いの分野からICTベンチャー創業に参加した。当時最先端だったウェブ制作やネット通販ではなく、地味な通信系だった。白状すると、ネット系と通信系が別々とみなされている、もっと言えば仲がよろしくない、というのを知ったのはだいぶ後になってからだ。まあでも、インターネットを広めたいという目的を果たすには間違っていない選択だった。
で、2000年の転職以来、しばらく仕事が忙しかったのでIT革命の意味とか今後を考えることから遠ざかっていたのだけれど、5、6年前に仕事が一段落したこともあり、社会人大学院(MBA)の門を叩いた。

入学してベンチャー論の関係文献を読んでいったのだが、実務家としてかなり違和感を感じることが多かった。それは2000年頃以前と以後では良くも悪くもベンチャーを取り巻く環境が大きく変わったので、2000年以前の文献を読んでもピンとこないのだ。会社を作って新興市場(現ジャスタックのこと)に上場するのに平均30年以上とか、それを前提にしたメインバンクからの借入れのポイント、とか言われても困る。問題は状況の変化であって、もちろん研究者のせいではない。

そんな中でベンチャー論とは関係なく読み始めたクリステンセン『イノベーションのジレンマ』に衝撃を受けた。大会社が小さな会社に倒される。そしてそれは経営者の失敗ではなく当然の成り行き。新しい事業には小さな会社が向いている、というメカニズムを理路整然と説明しているのだ(*1)。それを読んで、あぁベンチャー論で自分がやることはない、と悟りを開いた(*2)。

で、本題。
そんな我が心の師匠クリステンセン先生が、クリステンセン(2003)で統合化とモジュール型に言及している。しかもファイン(1999)の二重らせん構造、すなわち製品ライフサイクルの中で統合化/モジュール化が繰り返すという見方をベースに(*3)。

(*1) 同書は大企業側の視点で記述されている
(*2) それは筆者の心中の叫びであり、実際には研究テーマは事例にせよ実証にせよ、たくさんありますので、やる気のある方はふるってご参加ください
(*3) クリステンセン(2003) p166

<参考文献>
クレイトン・クリステンセン、伊豆原弓訳『イノベーションのジレンマ 増補改訂版』翔泳社 2001
クレイトン・クリステンセン、マイケル・レイナー、櫻井裕子訳『イノベーションへの解』翔泳社 2003

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