2011年10月24日月曜日

オリンパス騒動 疑問編1 CEO?


「疑問編」と言っても色々あり過ぎてどこから手をつけて良いかわからないが、意表をついてCEOChief Executive Officer;最高経営責任者)の件から始めよう。

ウ氏がオ社取締役会で代表取締役・社長執行役員を解職されたのは同社プレスリリース(「代表取締役の異動に関するお知らせ」)のとおりだが、ここで気になるのはウ氏が菊川氏にあてた手紙(ウ氏資料)の中で「私がCEOに任命されたことが日本語ウェブサイトでは公表されていない」と指摘していることだ。企業ウェブサイトの日本語と英語で情報量に差があることは珍しくないけれど、CEOタイトルのような重要なことについて違いがあるはずはないと思って同社ウェブページ英語版BOARD OF DIRECTORS, CORPORATE AUDITORS AND EXECTUTIVE OFFICERS (As of June 29, 2011)をチェックすると、確かにChairman & CEO Tsuyoshi Kikukawa, President & COO Michael C. Woodfordと書いてある。本年6月の株主総会後新役員体制発足時点では菊川氏がCEO、ウ氏がCOOだったわけだ。英語では。それに対応する日本語版(というのもへんだが)20113月期有価証券報告書を見るとCEO, COOの記載はない。それならとウ氏解任決議プレスリリース英語版を探してみると、なんとこちらにはウ氏解任前の役職として ”Representative Director, President and Chief Executive Officer”と記載されているではないか。ということは、

CEO,COOの役職を英語版では公表し、日本語版では公表していない
・本年629日時点では菊川氏がCEOだったが、1014日以前のどこかでウ氏がCEOに昇格していた(ただし英語版)

これを裏付けるように前述のFinancial Times記事(Ex-Olympus chief questioned payments)には「わずか2週間前にchief executiveになったばかり」という記述がある。ということは、ウ氏は本年101日前後に菊川氏に代わってオ社CEOに昇格した直後の1014日に突然解任されたことになる。
だとすればウ氏解任プレスリリースが挙げている「マイケル・シー・ウッドフォード氏と他の経営陣の間にて、経営の方向性・手法に関して大きな乖離が生じ」という解任理由は説得力に欠けると言わざるを得ない。仮にそのような解任理由が本当だとすれば逆に2週間前にCEOに任命した側の責任を問われることになるだろう。

【疑問】CEO任命と直後の解任の責任
任命責任。政治の世界でよく耳にするが、政治の世界でそうであるように攻める力は強くない。そのような混乱を招いた取締役たちを株主が信任し続けるかどうか、に尽きる。

【疑問】CEO任命を日本語で開示していない
こんなに大事な決定事実を速やかに開示しないとは問題ですね、東証が黙っていませんよ、と思って東証の開示ルールを紐解いてみた。上場規程402条第1aaによれば「代表取締役又は代表執行役の異動」についての決定があった場合には直ちにその内容を開示することが義務付けられているものの、最高経営責任者については「代表取締役等の異動に該当しないときでも、開示することが望まれます」(会社情報適時開示ガイドブック20116月版)と腰の引けた努力義務になっていた。なるほどこれではルール違反を問うことはできないが、いずれにせよ日本語と英語で開示内容が異なる点は要改善であろう。

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