2011年10月27日木曜日

オリンパス騒動 オ社追加情報開示

昨日26日、会長兼社長だった菊川氏が代表権を返上して一取締役に退いたのに続き、本日オ社から「当社の過去の買収案件に関する追加情報について」(以下「追加情報」)が開示された。基本的に事実経過はウ氏主張をなぞるもの、あるいは既に報道されているもので新味に乏しいという評価もうなずけるが、それでもよく読むとなかなか興味深い点がある。

【ポイント1】
フィナンシャル・アドバイザー(FA)がストラテジックコンサルタントに変わってる

20111019日付 「一連の報道に対する当社の見解について」では問題の巨額手数料支払先について、Gyrus社「買収におけるフィナンシャル・アドバイザー(以下「FA」)への支払いについて」と明確にフィナンシャル・アドバイザーと記載されていたのに対し、追加情報では「ストラテジックコンサルタント」に変わっている。
これは、1)FAとしての手数料が高すぎる、2)FAが対象企業(Gyrus)のストックオプション(後に優先株)を報酬として受け取るのがおかしい、という批判をかわすためと思われる。1)は業務内容がFAとは異なるのでFA報酬の相場を当てはめるのは適切ではない、だから報酬が高くても適切だというロジック。2)は買い手側(オ社)の立場に立つべきFAが買収対象企業のストックオプションを得るのはおかしいという批判を、ストラテジックに共同出資を考えていたというロジックでかわすものだ。

そうすると「じゃFAがいなかったのか!」とのツッコミが想定されるため「(Axes社への支払いは)一般的ないわゆるFA業務に対する報酬のみに留まらず」と記載することによってFAを兼ねていたこともさりげなく主張している。

うーん、考えましたね。

【ポイント2】
FA手数料が$687Mではなく$244Mであり過大とは言えない点を強調し、優先株買取の値上がり分$433Mはのれんに計上

これはまさに前回のエントリ「疑問編2 FA手数料高い?」で指摘していた問題。
今まで明確にしていなかった優先株買取と手数料の関係について、優先株を買い取った$620Mのうち取得相当額の$177Mを引いた値上がり分$443Mは手数料ではない!と明確に主張。これによって手数料は$244Mでなんとか説明できる範囲に抑えたものの(それでも高いですが、FA業務に留まりませんので。はは。)、その反射的効果として値上がり分$443M の支払いはGyrus社買収と直接関係ないトランザクションとなり、Gyrus社買収に係るのれんに計上することはできなくなる、、、はずだったが、「買取金額620百万米ドルと発行価格177百万米ドルとの差額については、ジャイラス社を当社の100%保有とすることを目的とした株主権の買取りであるので、のれんに計上しております。」だそうだ。

うーん、考えましたね(再)。
なかなかしっかり攻めどころを見抜いて守備強化しております。
これに対してどう攻めるか、は次回ということで。

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