2011年2月25日金曜日

モジュール化の定義

モジュール型アーキテクチャーとは、レゴブロックのように独立したサブシステムを組み合わせ全体システムを作る構造であり、そのサブシステムがモジュールである。

と言っても実はなかなか難しい。一つには、モジュール型と統合型は相対的である点。田中(2009)の例を借りれば、機械式時計より自動車はモジュール化されているが、パソコンに比べれば自動車は統合化されている。また分析対象も製品レベル、企業のバリューチェーンレベル、業界レベル等、論者によって異なる。例えばモジュール化の代表としてしばしば取り上げられるPCはCPUとOS等を組み合わせて作ることができる点ではモジュール化と言えるが、最近の筆者を含め(*1)、たいていの人はメーカが提供する完成品を購入するから統合的とも言える。さらにインターネット全体で考えれば、PCはネットワークに接続する端末だからモジュールと言うこともできる。このようにモジュール化と統合化の程度は相対的であり、分析対象設定にさまざまなバラエティがあるから統一的に定義づけるのは困難なのである。田中(2009)で引用されるFixson(2007)の論文名。
"What exactly is Product Modularity? The answer depends on who you ask,"

まあそうは言っても定義が必要ということで、ここでは藤本他(2001)をベースに、
1) インターフェースのルール化
2) インターフェースの集約化(機能分化)
3) インターフェースの公開
とする。

1)インターフェースのルール化は例えばネジ穴の大きさやコンテナの大きさを規格化すること。2)の集約化とは例えばPCで計算処理はCPU、画像処理を担当するがグラフィックチップ、昔で言えば音を出すのがサウンドカード(*2)、という具合に一つの機能に一つのサブシステム(モジュール)を当てはめること。例えば自動車のサスペンションは安定性と乗り心地という二つの機能を担当するので、この観点ではモジュール化の程度が低い、となる。3)の公開とは例えば誰でもPCのUSBインターフェースを使う機器を開発販売できる。無料かどうかは問わない。

(*1) 1990年代前半には秋葉原を徘徊してPC自作しておりました。懐かしいあの頃
(*2) 自作PCの話が出たらサウンドプラスターに触れないわけにはいかないだろう

<参考文献>
田中辰雄『モジュール化の終焉』NTT出版 2009
藤本隆宏・武石彰・青島矢一編著『ビジネス・アーキテクチャ』有斐閣 2001

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