2012年5月21日月曜日

コンプガチャ 消費者庁規制の解説のような


5月18日、消費者庁より「「カード合わせ」に関する景品表示法(景品規制)上の考え方の公表及び景品表示法の運用基準の改正に関するパブリックコメントについて」が発表されました。

今まで報道されていたとおり、ソーシャルゲームのコンプガチャを景表法による規制対象とするものであり、逆に言えば景表法ではコンプガチャだけが規制されるわけであります。なお、厳密にはコンプガチャは新たに違法になるものではなく、従来から違法だったことが明らかにされたという建付けですね。

図1

<一度は>
先日のエントリ「ソーシャルゲーム ガチャと景表法」に書いたとおり、景表法の枠組みで景品規制を考える場合、取引付随性が問題になります。事業者が提供する製品/サービスそのものである取引(本体)と、この販売のために顧客を誘引する景品(おまけ)が要件です。そもそもゲーム運営者はゲーム提供を生業としていますから、景表法規制を検討するならゲームタイトル、例えば「探検ドリームランド!」を取引(本体)と考えるのが自然でありましょう(図1)。ところが、

消費者庁「ゲームが取引(本体)であって、ゲームに顧客を誘引するガチャが景品(おまけ)であろう。」
ゲーム運営会社「これは異なことを申される。ゲームは無料で遊べますから取引(本体)とは言えませんな(キリッ)」

というやり取りを経て(推測)、消費者庁の「ガチャは取引に付随する景品ではないので景表法の景品規制には該当しない」という認識を表したのが本年2月の日経報道だったのでしょう。

<再考 0518>
だがしかし。
消費者庁はもう一度よく考えてみました。何らかの理由で。何らかの理由で。大事なことなので二回言いました。

ガチャがダメならコンプガチャだ! とばかりに、コンプガチャを
1)有料のガチャ(シリーズA)
2)一定のカードが揃ったら特別カード取得(シリーズB)
という二つのプロセスに分解し、前者を取引(本体)、そして後者を景品(おまけ)とみなします。かつて「ゲームそのものは無料で遊べるから取引(本体)たり得ない」という反論があったせいか(推測)、消費者庁は、わざわざ「有料のガチャ」とした上でこれを取引(本体)としています(図2)。もはやゲームは無視。これじゃゲーム運営会社じゃなくてコンプガチャ運営会社になっちゃう。。。

図2

この新しい解釈の結果、コンプガチャだけがピンポイントで景表法に抵触することとされたのです。

<戦わずして?>
このロジックは議論の余地がないでもない気がする今日この頃ですが、既にゲーム会社は足並みを揃えて一斉に「コンプガチャ廃止」を表明済みであります。これにて一件落着、なんでしょうか。

なんとなく奥歯に物が挟まったようなエントリだな、と思った読者は読解力があります。ここから先は先日のエントリ「続 ソーシャルゲーム ガチャと景表法」を改めてご参照願う次第なのであります。


いつも通り、お気づきの点がありましたら優しくご教示をお願いします。

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