ここまでの考察で「iPhoneやiPadはPCだ」と位置づけた。だが神尾(2011)が指摘するようにアップルはiPadをポストPCと呼んでいる。これまで何気なく使ってきたPCとかパソコンという語を整理する必要があるだろう。
PC、パソコンの定義
狭義 | PC | AT互換機(ウィンドウズ機) |
通常 | パソコン | 狭義PC+アップルのMac |
広義 | ポストPC | iPad, iPhone, Android |
そもそもパソコンはパーソナル・コンピュータの略、PCはPersonal Computerの略だからパソコン=PCが正しく成り立つと言いたいところだし、実際そういう使われ方も多い。もっともPCは1981年にIBMが発売し今日のパソコンの直接の原型となったIBM-PCの商品名という側面も持つため、PCというときこのIBM-PCとその互換機(一般的にAT互換機と呼ぶ)を指す場合もある。これらはOSの名前をとってウィンドウズ機と呼ばれることもある。これを狭義のPCとしよう。次は最も一般的と思われる用法で狭義のPCにアップルのマッキントッシュ(Mac)を加えたもの。通常パソコンと言えばこれを指すだろう。最後にスティーブ・ジョブズの言うポストPC。これは通常のPCに対して(もちろんスティーブ・ジョブズは狭義のPCに対して、と言うだろうが)はるかにコンシューマ化を進めたもので、本来ビジネス向けの「通常パソコン」とは違うことを強調したのだろう。言い換えれば、これまでの(通常)PCがコンシューマ市場に適応すべく形を変えたものがポストPCである。だからポストPCはPC、パソコンに包含されるものとして説明が可能だ。
やや長くなるが本田(2011)から引用。「ジョブズ氏の「iPad2は"ポストPC"である」という発言にわたしはやや深い意味を感じる。なぜならジョブズ氏はPCとパーソナルコンピュータという2つの言葉を巧みに使い分けていると思えるからだ。ジョブズ氏にとって、PCとはウィンドウズ機に代表される、いわゆる"パソコン"である。それに対し、パーソナルコンピュータとは個人と一対一で結びつけられるコンピュータを指しているのではないだろうか」(pp.69-70)
<参考文献>
神尾寿『すべてのビジネスをスマホが変える』徳間書店,2011
本田雅一『これからスマートフォンが起こすこと。』東洋経済新報社,2011
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