2012年8月14日火曜日

ダイナム目論見書チェック(株式事務編)

日本の会社が日本の証券取引所上場をスキップして香港に上場ということで、株式に関する日本と香港の法制度の違いも香港の投資家向けに詳細に説明されており興味深いのです。テクニカルな話ではありますが、自分の仕事に関わる分野ですのでお勉強も兼ねてご紹介。

-----

DYNUM JAPAN HOLDINGS Co., Ltd.
Prospectus (PDF)

MATERIAL SHAREHOLDERS' MATTERS UNDER JAPANESE LAW (p.11)

日本法における株主に関する重要事項

当社は会社法に基づき日本で株式会社として設立され、当社の主要事業は日本で営まれている。従って当社は日本の会社法とその関連法令および規制に服する。香港法はいくつかの重要な点で日本法と異なる。この章は、当社の株主が注意すべき重要事項と当社経営陣が考える、株式の所有、移転、企業法、株主の権利と義務、配当とその源泉徴収税、外国為替規制等についての日本法の要約である。当社への投資を検討している投資家は、この章の内容について疑義があれば、公認証券会社、銀行、弁護士、会計士その他の専門家に相談すべきである。

以下は当社に投資するに当っての株主に関する重要事項の概要である。この概要と共にこの目論見書に記載された各論点に関する記述も参照すること。

(1) 株券の物理的所有には重大なリスクが存在する

自己で、または第三者を通して株券を物理的に所有することを選択した場合、正当な権限を持たない第三者がその株券を手に入れて株主として株主名簿に記載するよう法的手続きを通じて当社に要求するリスクがある。

株券を紛失または汚損した株主は、正当な権限を持たない第三者に対して法的手続きを通して自らの正当な株主としての地位を主張しなければならない可能性がある。

CCASS(the Central Clearing and Settlement System,筆者注;日本の証券保管振替機構みたいなものと思われる)の実質株主は株式を物理的に所有するリスクを負わない。CCASS外で自らの名義で株式を保有するのであれば、当社に株券不所持の申出を行うか、保護預かりにすることを強く推奨する。

<筆者注:ここから先は小見出しとポイントだけで(てへぺろ)>

(2) 株券不所持の申出をした後で株券の再発行を依頼する場合、最長で6日間かかる

(3) 株券を紛失した株主は株主としての権利を制限される
<筆者注:株券失効制度による一年間の権利制限等>

(4) 日本法に基づき配当支払時に源泉徴収
<筆者注:リファンド手続による払戻しあり>

(5) 配当は香港ドルか日本円

(6) 外国為替取引等の報告
<筆者注:外為法に基づく日本銀行への報告>

(7) 当社または当社経営陣に対する法的手続きの困難さ

(8) 投資家に対する継続的な情報提供

(9) 当社株主名簿への記載
<筆者注:日本と香港では株式譲渡の方法と対抗要件が異なるため、香港では譲渡の証憑と香港印紙税法に基づく納付とスタンプが必要とのこと>

-----

途中で力尽きて省エネになっております。ははは。
最後の(9)に出てくる株券譲渡の方法及び対抗要件の違いが重要なポイントのようですね。日本では株券の占有者が適法の所持人(株式の実質的権利者)と推定されるわけですが。

いつもどおり、お気づきの点がありましたら優しくご教示願います。